財団法人 性の健康医学財団は、2008(平成20)年12月1日の新公益法人制度施行に伴い、2013(平成25)年10月22日、新たに公益財団法人 性の健康医学財団となりました。
当財団は今を遡ること100余年前、1905(明治38)年に東京帝国大学(現・東京大学)皮膚科教授土肥慶藏らの発案によって創設されました。その当時の呼称は「花柳病予防協会」でした。
当時は、梅毒、淋病などの性病が非常に蔓延し、その原因は主に花柳界(いわゆる遊郭)が主な感染源だったため、明治時代には花柳病と呼ばれていました。
その後、1920(大正9)年に日本性病予防協会と改称し、翌1921(大正10)年10月22日に財団法人 日本性病予防協会として内務省から法人格の認可を受けました。その間、土肥慶藏の努力により、医師のための性病講習会や検梅などの法律の制定がなされてきました。
1999(平成11)年、性病予防法の改正に伴い、第7代会頭熊本悦明の発案により、財団法人 性の健康医学財団と改称、そして今日の公益財団法人 性の健康医学財団となりました。
戦前には、梅毒、淋病などの性病は恐ろしい病気と考えられ恐れられていましたが、戦後になるとペニシリンなどの抗生物質が発見実用されるようになり、一時は性病などは恐るるに足らずとの風潮も生まれました。
しかし、1980年代中頃より未だに完全には治癒することができないHIV/AIDSが登場し、やはり性病は怖いものだということが一般に再認識されるようになりました。
事実、最近ではエイズばかりでなく、単純ヘルペスウイルス(HSV)、子宮頸癌の原因となるヒト・パピローマウイルス(HPV 16型、18型など)、尖圭コンジローマ(HPV 6型、11型)などのウイルス性の性感染症が猛威を振うようになり、これらのウイルス疾患に対する薬剤は種々考案されていますが、未だにこれらのウイルスを殺す薬剤は開発されていないのが現状です。
このように、性感染症(1999年の法律の改正により、現在では性病という正式名称はなくなりました)の様相も明治時代とは様変わりしていますが、未だに難問が山積していると言えるでしょう。
このような諸問題に対処すべく、当財団は性感染症の認知、啓発活動のために種々の活動を行い鋭意努力しております。また、1999(平成11)年に性の健康医学財団と改称してからは、上述のいわゆる性感染症に加えて、性の健康を増進することに関しても対象範囲を広めて活動をしています。
性の健康とは、人間の性(Human Sexuality)を、生物学、生理学、医学、心理学、社会学等の多角的な側面から総合的にみるという、スタンスの広い、トータルな概念です。
以上に述べた諸問題に取り組んで鋭意努力する所存ですので、今度とも、皆様方のご指導、ご協力を賜りたいと存じます。
公益財団法人 性の健康医学財団
第10代 理事長 北村 唯一
略歴
- 1947(昭和22)年
- 石川県生まれ
- 1973(昭和48)年
- 東京大学医学部医学科卒業
- 1973(昭和48)年
- 東京大学医学部泌尿器科学教室入局
- 1974(昭和49)年
- 東京大学医学部助手
その後、国立小児病院、三井記念病院、焼津市立総合病院 勤務を経て、
- 1994(平成 6)年
- 東京大学医学部附属病院分院泌尿器科科長 (助教授)
- 1998(平成10)年
- 東京大学医学部附属病院泌尿器科科長 (教授)
- 2006(平成18)年
- 財団法人 性の健康医学財団 理事
- 2008(平成20)年
- 東京大学退官、東京大学名誉教授
- 2008(平成20)年
- 社会福祉法人あそか会あそか病院院長
- 2011(平成23)年
- 財団法人 性の健康医学財団 理事長
- 2013(平成25)年
- 社会福祉法人あそか会あそか病院名誉院長
- 2014(平成26)年
- 自靖会親水クリニック院長 ならびに 光靖会北村記念クリニック名誉院長
- 2022(令和4)年
- 自靖会親水クリニック退職、(公財)性の健康医学財団運営専任となる
現在に至る
【所属学会等】
● 公益財団法人 性の健康医学財団 理事長
● 公益財団法人 渡邉財団 理事
● 公益財団法人 神澤医学研究振興財団 評議員
● 特定非営利活動法人 臨床研究の倫理を考える会 専門委員
● 日本泌尿器科学会 名誉会員
● 日本老年泌尿器科学会 名誉会員
● 日本性感染症学会 幹事
● 米国泌尿器科学会 通信会員
● 世界泌尿器科学会 会員
令和6年6月4日 記載