性感染症の検査・治療

「もしかしたら性感染症かもしれない・・・」 と不安になっても、若い人たちにとって保健所や医療機関は決して近づきやすい場所とは言えません。しかし、性感染症を放置することは重篤化や感染の拡大・まん延につながる可能性があります。
早期発見・早期治療の大切さを伝え、検査や受診を勧めてください。

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保健所に行く

検査を受ける前に

自分が性感染症に感染しているかどうかを確かめたい時は、保健所などに電話相談できます。
本人でなくても相談を受け付けます。

検査を受ける保健所を決める

全国の保健所でエイズ検査は匿名、無料で受けられますが、クラミジア、梅毒、淋菌感染症など他の感染症については保健所によって受けられるところと受けられないところがあります。
保健所によって検査日時、検査項目、検査方法が違います。検査を希望する保健所への確認が必要です。土日に検査を行っているところもあります。
インターネット上の 「HIV検査・相談マップ」 http://www.hivkensa.com/ は、場所や条件に合わせて検索ができます。

HIV検査相談マップ

行きたい保健所に電話で問い合わせをする

この時、必要な場合や予約をします。予約番号を告げられます。
予約時に聞かれることは 「希望する検査日時」 ですが、HIV感染の検査の場合は、「感染の機会から2~3ヵ月経っているか?」 なども聞かれます。

検査当日

受 付

問診票に記入をします。氏名や住所を書く必要はありません。

プレカウンセリング

問診、検査の説明や簡単な質問を受けます。

尿検査等

HIVのみなら採血だけです。

血液検査

5~10ml 採血をします。

結果を聞くための検査番号の控えをもらいます。

この控え番号票がないと結果を教えてもらえません。大切に保管するように伝えましょう。

1~2週間後に結果を聞きに行きます。

口頭のみの説明が多いです。

性感染症検査は、後日、結果を聞きに行く場合が多いです。
エイズのみであれば、即日検査(当日の数時間後に結果を聞きに行く)を行っている保健所も多くあります。せっかく検査をうけたのですから、必ず検査結果を聞きに行くように伝えましょう。

保健所では、性感染症の治療はできません。結果が陽性の場合はクリニック、病院を紹介されます。

検査を受けた後に

検査の結果、受診するように言われた人には、必ず病院、クリニックへ行って確認検査を受けるように勧めてください。結果告知の医師やカウンセラーにも相談ができます。

また、結果が陰性でも、その後コンドームなしでの性行為があれば、うつる可能性があります。今後も引き続き予防に気をつける必要があります。

病院・クリニックへ行く

受診する前に

性交の経験がある若者でも「性感染症」の知識は少なく、感染は他人事のような認識や態度をとりがちですが、性感染症は、特別な人が感染するものではなく、「性に関する生活環境汚染」と言われるくらいに広がっています。

性感染症の予防に注意することはもちろん、症状があったら、恥ずかしがることなく医療機関を受診するように勧めましょう。早期発見・早期治療が大切です。病院、クリニックは、気軽に相談、必要な検査ができる場所です。

病院やクリニックを調べる

女性の場合は婦人科の病院、医院、ウイメンズクリニックをインターネットで検索すると、ホームページで、その施設の特徴や診療内容を具体的に知ることができます。思春期外来として開設している施設や○○女性クリニックなど、若い女性が受診しやすいシステムになっている施設もあります。専門医や女性の医師が担当している曜日などの情報を相談者に提供しましょう。

男性の場合は、皮膚科、泌尿器科、性病科をネットで検索します。ほとんどの地域で医療機関の案内サイトがありますので、それらも紹介するといいでしょう。

気軽に電話をかけてみる

病院が、案内や実際に宣伝どおりであるかは、直接出向くか電話をしてみるとわかります。
病院・医院によっては、保険診療ができない施設もありますから、事前に問い合わせをしてから受診するように勧めてください。

病院ではすべての検査ができ、治療もできますが、クリニックではできない検査もあるので、あらかじめ地域にある病院・クリニックについて、外来受診日、時間、受診に必要なもの、できる検査・できない検査などの情報を得ておき、相談者の症状によって、どの病院、クリニックがよいか、専門医師を選べるように情報を提供しましょう。詳細な医療機関や相談機関については、最寄の保健所に問い合わせしてください。

受診する

受診時期は、症状が現れているときが最も良い時期です。
陰部や腟内は洗浄せず、そのまま受診することが検査をスムーズにし、診断の確定に役立ちます。

感染の可能性のあった性行動、受診理由、症状、現在困っていること などをメモしておくと、診断の際に手際よく答えることができ、質問することもできますので、受診の前のメモ作りを勧めましょう。
性感染症が疑われるときには、パートナーの受診の必要性も伝えましょう。

ダウンロードしていただき、
印刷してご利用ください(PDF形式)

診察と検査の実際

こんなときは受診をすすめましょう

女 性
帯下の増量、外陰部の痒み、ひりひり感、違和感、水泡、ビラン、いぼ状のできもの、頻尿、残尿感、排尿痛があるときなど
婦人科・産婦人科
を受診
男 性
尿道からの膿状の分泌物、排尿痛、排尿時違和感、陰嚢の腫脹、陰茎にぶつぶつや水泡、ビランができたときなど
泌尿器科・皮膚科・性病科
を受診

診察を受ける前に

初めて診察を受ける場合

1
受付で初めての診察であることを告げ、健康保険証を出します。
保険証の提示が無いと保険診療ができず、医療費はすべて自己負担となります。
2

問診票では次のようなことを聞かれます。
(該当する項目を○で囲んで答えることが多い)

  • 氏名、生年月日、住所、電話番号など
  • 本日の受診理由 (帯下が多い、陰部が痛い、月経が遅れている、その他)
  • 月経について (初経年齢、月経周期、持続日数、月経量、月経困難症の有無、最終月経など)
  • これまでの病気、現在薬を飲んでいるか、薬剤アレルギーはないか、その他の病気の有無、 紹介者がいるか など
3
問診票を提出するとカルテが作成され、診察室に回されます。

健康保険について

保険の種類や機関によっては、後日、保険による受診状況に関する通知が被保険者宛に送られてきて、いつ・誰が・どこで・この保険証を使用したかがわかります。親が保険証に記載された「本人」である場合には親の了解を得て使用するように伝えましょう。

診察の手順

1

問診 (症状に対する質問)
名前を呼ばれたら診察室に入ります。診察室では医師が問診票にそって受診の理由を確認し、性感染症の疑いがある場合は、症状の現れた時期と性的な接触や性交の時期、これまでの処置や薬剤使用の有無などを尋ねます。恥ずかしからずに隠すことなく、本当のことを話すことが確実な診断につながることを理解させましょう。

2

診察 (視診・触診)
症状によっては性器の診察があります。下着をとり診察台(必要時は婦人科内診台)に上がります。看護師が必要な説明をしてくれるので心配ありません。手は軽く胸において口で呼吸すると身体の緊張がとれます。はじめから終わりまで、診察時には看護師がついていますので、一人になる心配はありません。外陰部の変化は視診(視る)だけで診断できることもありますが、発赤や痛みのある場合にはその部分に触れて、痛みの程度をみます。
排尿痛などの場合は、尿道口を消毒して細い管を使って尿をとり、尿の色、混濁、においを観察して検査にまわします。

3

腟鏡診
腟内を専用の器械を挿入して診察します。腟分泌物の性状(量、色、におい、血液混入の有無など)を観察し、一部をとって顕微鏡で観察します。腟トリコモナス原虫、カンジダ属の真菌はこれで診断でき、その際、同時に腟内に坐薬を挿入して治療を開始します。培養検査に出すこともあります。クラミジア・トラコマティス(性器クラミジア感染症)は、子宮頸管内膜に感染増殖しますので、その部分の分泌物を採取して検査します。診察時は力を抜いて口で軽く呼吸をしていれば痛みはほとんどありません。

4

内診
子宮、卵管、卵巣の状態を腹壁と腟を介して手指により観察するのが内診です。それらの大きさや圧痛の有無、骨盤腹膜炎の症状がないかどうかを診察します。

5

血液検査
血液で抗体価や感染徴候などを調べます。

診察結果の説明と服薬指導

最後に医師から結果と治療方針の説明があり、多くは内服薬と外用薬、腟坐薬で治療します。服薬指導は薬局でもていねいに説明してくれます。診断が確定せず、検査結果が数日たたないとわからない場合は、再度受診する必要がありますが、応急的な治療はスタートすることがほとんどです。

男性の場合は泌尿器科、皮膚科などを受診します。手順や保険証の提出などは女性と同じです。ここでも症状にそって診察され、性器の外診や尿道の分泌物の採取、尿の検査、時に直腸診がなされます。男性の外性器は体外にあるため診察は比較的容易に行われます。性器の診察時は男性の医師のみで診察するよう配慮しているところもあります。